霖雨礼賛

「雨の日は憂鬱な気持ちになる。」


そう言い始めたのは誰なのだろう。

気圧によって体調は左右されるものの、

雨と、それが生み出すものを心底美しいと感じる私にとっては、理解し難い意見である。


穏やかに打ちつける雨音とひんやりした雨風で目覚める朝の、なんと心地の良いことか。

そんな朝はベランダに出て思いっきり息を吸い、雨の匂いを堪能してみる。

外を眺めると、色とりどりの傘を咲かせて歩く人びとが見える。

なんて、なんて豊かな時間なのだろうとしみじみしてしまう。


こうした雨の日には必ず思い出す詩があるので、ここで紹介させていただきたい。

"Paterson"という映画に登場する詩である。監督自らが綴ったものだそう。


Water Falls


Water falls. 

水が落ちる

 

Water falls from bright air. 

明るい空から 水が落ちる 


It falls like hair, falling across a young girl’s shoulders.

水が落ちる まるで髪のように 少女の肩にかかる


Water falls making pools in the asphalt, dirty mirrors with clouds and buildings inside. 

水が落ちる アスファルトにプールが 雲とビルの映る汚れた鏡が できあがる


It falls on the roof of my house. 

水が落ちる わたしの家の屋根に


It falls on my mother and on my hair.

 水が落ちる 母の髪にも わたしの髪にも


Most people call it rain. 

人びとはそれを雨と呼びます


 - Jim Jarmusch

(和訳は筆者によるものです。)


Marin Osawa 


We Cry

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