機械翻訳に呑まれたくない人へ


最近Instagramの自動翻訳の性能が格段に上がっていることに気がつき、驚いたことがあった。


例えば、何かを宣伝する際の「よかったらみてください。」という一文は、従来であれば "Please see it if it is good." と訳されていたのに対し、現在では "If you like it, please check it out." と翻訳されるようになっている。Holy crap, ワオ、すごい進歩。


これまで「see translation」をタップして表示される文章はとてつもなく機械的で真っ直ぐで、「まあそうなんだけど、そうじゃないんだよなぁ」と思いながら直訳された自分の文を眺めていた。しかし現在では「なるほど、そう訳せばいいのですね」と教えを受けるようになっている。私がボーっとしている間に翻訳機能は前へ前へと進んでいたのだ。あっという間だった。


私は大学で、英語を専攻しているわけではないのだが、必修科目として週に600分もの時間を英語学習に費やしている。さらに高校時代に1年間の海外留学を経験させてもらい、英語学習には特に力を入れてきた。ただ単純に英語を学ぶのが好きという気持ちも大きいが、なにより将来どの道を選択するにしても英語でコミュニケーションが取れるということは自分にとって大きな強みとなり、可能性を広げてくれるだろうと考えたからだ。


しかし、果たしてそれは本当に強みとなるのだろうか、と昨今の翻訳機能の発達ぶりを目の前にして私は考えるようになった。もちろん英語が話せないより話せる方がいいのは明らかだし、それがマイナスに働くことはないと分かっている。問題は、それが自分の「強み」として、「アピールポイント」の1つとして、世で通用するのかということである。


この疑問は私1人で解決できそうにないので、尊敬する大人たちに相談しに行ってみた。

そこで分かったのは、翻訳機能では補えない2つの事柄があるということだ。


1つは、言葉のニュアンスを汲み取ること。たとえ同じ言葉でも、それを発した人の文化的背景や表情、声のトーン、またはその状況などによってその言葉が意味するものは大きく異なる。文章においてもそうだが、特に実際の対話において、ニュアンスを汲み取る力は不可欠である。


もう1つは、英語というツールを通して他者に伝えるもの、つまり会話の「中身」だ。言うまでもないが、薄っぺらい話に耳を傾ける人なんていないだろう。いくら流暢に英語が話せたとしても、内容が薄ければ人を惹きつけることはできない。


私の疑問に対する答えとして、

英語が使えるということは、強みにはなる。しかしそれは言葉のニュアンスを汲み取り、その言葉の意味を正確に理解し応答できる能力と、自分にしかない、自分にしか伝えられない「何か」を持っているうえでの話だ。英語もしくは言語とは、あくまでその能力を活かし、それを伝えるための手段にすぎない。


要するに、いまやるべきなのは英語に磨きをかけることではなくて、自分にしか伝えられない唯一無二な「何か」を突き詰めていくこと。TOEFLやらTOEICやらで高得点をとることではない。


Written by Marin Osawa 


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